初めてのベビーを出産したサラ。可愛いベビーと彼との楽しい毎日を過ごしていました。ところが出産から1ヶ月半のある夜中、突然体調不良に見舞われます。汗が止まらず、視界も狭くなり、気分が悪くなったのです。「夫のベンもとても心配していました。いつもとは違って・・・」とサラは語ります。
サラとベンはすぐにかかりつけの医師の元へ。その時ドクターが言ったのはなんと・・・?
サラとベンは高校時代の同級生。子供が大好きだった2人はすぐにでも子供が欲しかったのですが、結婚して7年経ってもなかなか子供に恵ません。もしかしたら子供ができないんじゃないかと不安に思い始めました。
雑誌を読んだり、ネットで情報を収集したり、色々試してみましたが、一向に妊娠の兆しはありません。もしかしたら不妊症なのかも?と思った2人はとうとう病院に行くことにしました。
生理予定日はすでに過ぎていましたが、よくあることだし彼女は気にしていませんでした。ただ医師に相談して、何か改善されれば・・・・と軽い気持ちで受診したのです。
産婦人科を受診した2人は担当医師に勧められ、不妊治療に入る前に検査をすることになりました。どちらにどんな問題があるのか明確にするためです。まずはサラの血液検査から。
しかしいくら待っていても結果は出ない上に、ドクターもどこかへ行ったまま帰ってきません。不安に思っていた2人の元へ戻ってきたドクターが言った言葉は・・・
「おめでとうございます!」
「?!」
2人はドクターが何を言っているのか理解できませんでした。血液検査の結果を聞きたかったのに、一体どういうことなのか?2人の頭の中はクエスチョンマークでいっぱいでした。
次のドクターの言葉で頭の中の「?」マークは「!」マークに変わります。
「奥さんは妊娠しています」
ずっと待ち望んでいた赤ちゃんがサラのお腹に宿っていたのです。2人は喜びを噛みしめると同時に不安になってきました。せっかくできた赤ちゃん、何か妊娠中に問題があったらどうしよう?と。
彼女たちの心配は徒労に終わり、十月十日を経て長男フレディを無事出産。ようやく会えたベビーに喜びを爆発させる2人。赤ちゃんも健康に生まれてきたし、家族三人で仲良く過ごす日は幸せそのものでした。
第一子を出産し家に帰った後、2人は1人目の時になかなか妊娠しなかったので、次の妊娠までまた時間がかかると思っていました。実際2人目不妊などという言葉もありますから、避妊などということは考えも及ばなかったのです。
しかし奇跡は続きます・・・
出産後1ヶ月では通常生理は再開しません。個人差はありますがだいたい2〜3ヶ月後、母乳を出している人では1年以上無月経が続くこともあります。ただサラの場合は何か心に引っかかるものを感じていました。そしてついにフレディが1ヶ月半になったある夜、突然体調に異変をきたします。汗が止まらず、めまいを感じ、気分が悪くなったのです。
翌日かかりつけのドクターに相談しに行ったところ、思いがけない提案をされます。
「妊娠検査を受けますか?」
いや、まさか。だって出産したばかりだし、生理も再開していないのに。
しかし念のために行った妊娠検査はまさかの陽性でした。びっくりしている暇もなくお腹はどんどん大きくなっていきます。サラのお腹はまだ出産前のサイズに戻っていなかったので、そのためだろうと誰もが思っていたのですが・・・
サラは「フレディを産んでから体重もまだ落ちておらず、体型も戻っていなかったため、きっとお腹はとても大きくなるだろうな、と思っていました」と言います。
そしてその後の検診でなんとも驚くべき事実が判明します。それは初めてのエコー検査をした時。ドクターもナースも皆食い入るようにモニターを見ています。サラとベンは何かあったのかと不安になったと言います。
「ドクターはなぜ私のお腹がこんなに大きいのかわかったと言いました。その時ああ、もしかして双子なのかな?と思ったのですが・・。」とサラは話します。
次の瞬間、エコー検査のモニターを向けられた2人は驚きのあまり、一瞬言葉を無くし、涙まで流してしまいました。我に帰ったベンは「まさか!」と叫びます。サラは衝撃で言葉を無くしたままです。
エコーのモニターに映っていたのは、3つの影。そう、サラはなんと三つ子を妊娠していたのです。
サラは「子供を持つ夢を諦めかけていたのに、あっと言う間に4人もの赤ちゃんを授かったのは本当に夢のようでした。」と語っています。
しかし、フレディの時と違い、三つ子の妊娠というのは想像を絶するもので、あまり順調ではありませんでした。
それから2人は多胎妊娠について、早産の可能性があること、妊娠高血圧症候群など様々な合併症の可能性があることなど母体に対してのリスクがあることや、赤ちゃんの合併症などについて繰り返し説明を受けました。
しかし、第一子フレディもまだ小さく、リスクも高い妊娠だったため、ドクターはとても厳しい選択を彼らに迫ったのです。
「三人の赤ちゃんのうち、1人中絶することを検討してほしい」
2人は躊躇することなく、三つ子を産むことを決断します。1人の命を失うなんて考えられませんでした。
「考えるまでもありませんでした。私たちは2人とも既に3人の命を愛おしいと思っていましたから。」ベンはサラの体を心配しながらも、自分ができる限りのことをすると決意を固めたのでした。
命は大切ですが、生きていく上で必要なものもあります。一体6人家族になったらどれだけお金がかかるのでしょう?何が必要なんでしょう?
「計算してみたら、一日にミルクを20本作って、40回以上もオムツを替えなくちゃいけないことがわかったの。普通に考えたら無理よね。」
しかし、問題はそれだけではありません。
もともと二人で暮らしていて、フレディが生まれ3人家族になった彼らはとても小さなアパートに住んでいました。普通に考えたら十分ですが、6人家族にはちょっと狭すぎると考え、家を建てることにしました。ただこれもすぐというわけにはいきません。完成するまでに早くて1年かかります。
刻々と近づいてくる出産予定日。もうすぐ6人家族になろうとしているサラとベンはどうしたのでしょう?
ベンはFacebookで今の窮状を訴え、誰か力になってくれる人はいないか探すことにしました。ベンの投稿はシェアを重ね、瞬く間に世界に拡がり、善意の手が差し伸べられることになります。その中の一人が農家と知り合いで、その農家が納屋を貸してくれることになったのです。
農家の人も彼らに好意的で、家が完成するまでの間、格安で納屋を改装した家を提供してくれることになりました。これで後は順調に出産予定日までなんの心配もいらず、お腹の3人の子供とフレディを育てるだけ。
三つ子の出産予定日までは後2ヶ月。ただドクターからは早産の可能性もあることを聞いていたので、もしかしたらもうすぐ赤ちゃんに会えるんじゃないかな、とサラは思っていました。ベンも楽しみにしていたので、早くなったらなったで構わないと考えていました。
けれど検診に行き暢気な考えは吹っ飛びます。またもやエコー検査で新たな事実がわかったのです。
エコー検査をしてみると、3人の赤ちゃんのうち1人の心拍に異常があり、とても徐脈であることがわかりました。こうなったら少しの猶予も許されません。そのままあれよあれよという間にサラは出産することになりました。「少しくらい早くなっても・・・」なんて言っている場合ではありません。
予定より2ヶ月も早くはなりましたが、無事三つ子を出産したサラ。さらに驚いたことに、分娩してわかったのは、女の子が1人、男の子が2人だったこと。事前に聞いていたのは、二卵性、もしくは三卵性の男の子3人だろうということだったので、二重、三重の喜びに変わりました。「男の子4人なんて大変だけど、賑やかになるだろうねって話していたんです。」とベンは笑います。
長い間不妊に悩んでいたのに、1年足らずで4人の赤ちゃんを授かったサラとベン。しかし、現実は甘くなかった!
ミルク、オムツ、寝かしつけ。ようやく寝たと思ったらまたミルク、オムツ・・・夜は夜で夜泣きとの戦い。一人が夜泣きすると、その泣き声で他の子供達も起きて泣き出してしまいます。抱っことおんぶで二人がかりであやして、夜が明けることも。いつ子供が泣きだすかわからない朝から晩まで24時間ずっと緊張した状態が続きます。
サラは「4人の子供の面倒を見るのはとても大変。朝から晩まで休む時間もありません。」と話していて、ベンも「4つの小さな命を預かるのは想像以上のプレッシャー」と語ります。
それでも二人は「とても幸せ。ずっと欲しかった子供がいっぺんに4人もできました。」と笑顔で顔を見合わせました。
これから子供達が歩き出し、話し出すとますます賑やかになりそうですね。今は大変かもしれないけれど、家族6人協力して素敵な家庭を築けることを祈っています!